食物アレルギーについて

猫の食物アレルギーってどんなもの?

症状

 猫の食物アレルギーの主な症状は、下痢・嘔吐・皮膚炎です。
 生後6ヶ月から2歳ほどのあいだに発症する猫ちゃんが多いですが、高齢になってから発症する場合もあります。
 同じものを食べ続けることで発症するため、今まで何年も食べていてなんの問題もなかったフードでも、ある日突然アレルギー症状が出ることがあります。
 またアレルゲンを口にした途端に症状が出るわけではなく、数日食べ続けると症状が出始めます。

アレルギー検査

 動物病院で血液を採取し、アレルギー検査をしてもらうことができます。食物だけでなくノミやホコリなど多数の項目を一気に検査するものや、主だった食物だけに絞ったものがあります。たまたま反応がでなかったり、現在食べているフードに左右されたりと正確性に欠けるとのことで、一般的にはあまりお勧めされていません。しかしとりあえずの当たりをつけるためにやってみるのもいいかと思います。
 検査費用は動物病院によって違います。我が家の猫がやってもらったときは項目を絞ったシンプルな検査で1万円程度でしたが、2〜3万円かかったという話も聞きます。かかりつけの病院に確認してみてください。

除去食

 猫ちゃんのアレルゲンを確かめる基本的な方法はこの「除去食」というやり方になります。
 アレルゲンの可能性がある食材を排除したフードを与え、症状が軽減するかどうか観察していきます。
 たとえば今まで食べていたフードに鶏肉、魚、小麦が使われていたなら、まず鶏肉が入っていないフードを与えて症状が軽減するか観察し、軽減しないようであれば次は魚が入っていないフードを与えてみる、というように一つずつ確かめていきます。
 もし小麦を排除したフードで症状が軽減したなら、小麦アレルギーであると仮定し、今度は鶏肉・魚が入っておらず小麦の入ったフードを与えて症状が悪化するかを確かめます。

 アレルギー反応の有無を判断するのにはある程度の期間が必要ですので、ひとつのフードにつき二週間から一ヶ月ほどは続けてみる必要があります。根気がいりますが、必ず獣医師と相談しながらすすめてください。

アレルゲンになりやすい食材

 猫の食物アレルギーの原因はほとんどがタンパク質です。肉や魚、乳製品、卵のほか、穀物にもタンパク質が含まれておりアレルゲンになりえます。代表的なのは小麦に含まれるグルテンやグリアジンです。
 どのタンパク質がアレルギーになりやすいというよりは、同じタンパク質を食べ続けることで発症するため、キャットフードによく使われる鶏肉、魚肉、牛肉のアレルギーになる子が多いと言われています。ほかにラム肉や小麦、コーングルテン、卵、大豆のアレルギーになる子もいます。

交差反応にも注意

 ひとつのものでアレルギーが出た場合、似た構造のものでもアレルギーになりやすい傾向があり、これを交差反応といいます。
 チキンアレルギーの場合は、ダックとターキーに交差性があります。
 ビーフアレルギーの場合は、ラム、ベニソン(鹿)、乳製品と交差性があります。
 魚のどれかにアレルギーがある場合、魚全般に交差性があります。
 小麦アレルギーの場合は大麦、ライ麦、オート麦などに交差性があります。

アレルゲンは変化する?

 チキンアレルギーだからと鶏不使用の牛肉フードを食べ続けていたら、ビーフにもアレルギーを発症してしまう、というようなことがあります。
 逆に、アレルゲンであるチキンをしばらく断っていたら、チキンでアレルギー反応がでなくなることもあります。
 結果としてアレルゲンがころころ変わるような事態になることがありえますので、今症状が出ているか、今どんなフードを食べているか、常に注意しておきましょう。

食物アレルギー向けのフードとは?

タンパク源が限定されたフード

 フードに使われているタンパク質の種類が多ければ多いほどアレルギーを発症するリスクが高くなります。そのため多くの食物アレルギー向けフードは、お肉・魚などの動物性タンパク源が一種類か二種類に限定されていたり、穀物が使われていなかったりと、よりシンプルなレシピになっている傾向にあります。

消化の良いフード

 食物アレルギーの猫ちゃんは、普通の猫ちゃんたちよりもいっそう消化吸収しやすいフードを選んであげる必要があります。
 人間とちがって完全肉食動物である猫ちゃんたちは、タンパク質の消化は得意ですが、穀物や炭水化物の消化は苦手です。
 穀物や炭水化物には猫ちゃんに必要な食物繊維やビタミンが含まれているので、品質のいいものが適度に配合されている分には有益ですが、あまりたくさんの量が配合されている必要はありませんし、消化不良を起こしてしまうため避けたほうがいいでしょう。

複数のフードをローテーションしよう

 食物アレルギーへの一番の対策は、同じフードを与え続けないことです。
 日本ではペットに同じフードを食べさせ続けるのが当然のことになっていますが、そのフードによくない成分が入っていたり栄養バランスが適さなかった場合、猫ちゃんたちが多大な影響を受けることにもなってしまいます。
 また猫ちゃんがある日いきなりそのフードを食べなくなってしまったり、製品リニューアルで材料や味が変わってしまったり、製造中止になってしてしまったりすることもありえます。
 そういったときに慌てないようにも、今のうちにいろいろなフードを試して、愛猫に安心して食べさせられるフードを複数見つけておき、ローテーションで与えるようにしましょう。