フードの選び方

それぞれの猫ちゃんに合ったフードを見つけ出そう

 ネット上にはキャットフードを比較したりランキング化したサイトが数多く存在します。しかしどのフードが適しているかは猫ちゃんによって違うため、比較やランキングはあまり意味がありません。

 猫にとってどんなフードがよいのかについては実に様々な説があります。
 たとえば近年は高タンパク低炭水化物をよしとする考えが広まり、穀物フリーのフードが増えています。しかし穀物にもアレルゲンになりにくいものや血糖値を上げにくいものなどがありますし、穀物入りのレシピを好む猫ちゃんも多く、必ずしも穀物入りのフードが悪いというわけではありません。また高タンパク食は腎臓に負担がかかるという意見があるかと思えば、腎臓病療法食の低タンパク高炭水化物のフードの方がずっと猫に負担をかけるとする意見もあります。
 粗悪なレンダリングミールや、発がん性を指摘されている合成保存料など、明らかに避けたほうがいいものもありますが、多くの要素は一長一短、ケースバイケースであり、どう選ぶべきか一概には言えません。

 我が家には二匹の兄弟猫がいます。一匹は尿検査で異常が出たことはなく、いつも獣医さんに「健全そのものの尿だ」と褒められるのに、子猫のときからその子とまったく同じフードを食べてきたはずのもう一匹はあっさりストルバイト結石になってしまいました。
 また逆に、その子はウンチに関してはどのフードを食べさせても常に健康的で安定しているのに、もう一匹はしょっちゅう下痢をしていました。食物アレルギーを疑い、動物病院ですすめられた定番のアレルギー療法食を食べさせましたが一向によくなりません。最終的には、その子はチキンアレルギーで、療法食に含まれている加水分解チキンでアレルギーを起こし続けていたことが分かりました。通常、加水分解されたタンパク質ではアレルギーを起こしにくいのでアレルギー療法食にも使われているのですが、うちの子の場合はそれでもダメだったようです。

 このように同じフードでも猫によってまったく反応が違うので、フード選びにおいて重視しなければならない点、注意しなければならない点も猫ちゃんによって違ってきます。
 いろいろなフードを試して、飼い主さんがそれぞれの猫ちゃんに合うものを判断し選んであげましょう。

原材料の読み方

 フードを選ぶときは原材料をチェックしましょう。
 原材料はたくさん使われている食材順に並べられています。完全肉食動物である猫は健康維持のために多くのタンパク質を必要としますので、基本的には原材料の先頭にお肉やお魚が記載されているものを選ぶのがいいでしょう。
 ただし療法食などであえて低タンパク質にするためにポテトや米を多く使っているフードもありますので、猫ちゃんに合わせてください。

アレルゲンになりやすい食材

 猫の食物アレルギーの原因はほとんどがタンパク質です。乳製品のほか、穀物や炭水化物にもタンパク質が含まれておりアレルゲンになりえます。
 現在アレルギーでない食材でも、食べ続けるとアレルギーになることがありますので、乳製品を含むフードをしばらく食べたら次は含まれてないフードを与えるなど、ローテーションするようにしましょう。

グレインフリー

 穀物を使用してないフードをグレインフリーフードと言います。
 人間は炭水化物からエネルギーを得ますが、完全肉食動物の猫はタンパク質からエネルギーを得ており、炭水化物の消化は得意ではありません。穀物などを大量に摂取すると内臓に負担がかかってしまうので、基本的には高タンパク・低炭水化物のフードが望ましいとされます。また、穀物に含まれるタンパク質、特に小麦などに含まれるグルテンはアレルギーを起こしやすいこともあり、昨今は穀物がまったく入っていないグレインフリーフードが増えています。

 だからといって必ずしも穀物入りのフードが悪いというわけではありません。
 たとえば穀物の中でもお米はアレルギーになりにくいため、アレルギー対応食にも使われていることがありますし、品質や加工の仕方を工夫して猫ちゃんでも消化しやすいようになっているフードもあります。
 また穀物には食物繊維が豊富に入っています。毛繕いをして毛を飲み込んでしまう猫ちゃんたちにとっては食物繊維による腸のお掃除はかかせません。
 食物繊維はおなかの中で膨らんで満腹感を与えるため、食べ過ぎてしまう猫ちゃんにも有用です。
 穀物入りのレシピを好む猫ちゃんも多いそうなので、他のフードをなかなか食べてくれない場合は穀物入りのフードも試してみる価値があります。

 穀物入りのフードを選ぶ場合は、配合量が多すぎないもの、できるだけアレルゲンになりにくい穀物を使ったものを選びましょう。

ポテトフリー

 グレインフリーのフードが増えた代わりに、穀物以外の炭水化物源としてじゃがいもを使用したフードも多くなりました。
 ポテトは食物繊維やビタミンCが豊富で満腹感の得やすい食材です。
 アレルゲンになりうるタンパク質が含まれているので注意が必要です。
 猫は炭水化物の消化が得意ではありません。穀物と同様、多少入ってる分には大丈夫ですが、大量に配合されていると内臓に負担がかかってしまいます。
 また猫がエネルギーを摂取しやすい肉類高配合のフードに比べると、じゃがいもが高配合のものは多くの量を食べなければエネルギーを確保できず、ますますじゃがいもを大量に摂取していくことになってしまいますので、配合量の多すぎないものを選びましょう。
 じゃがいもは血糖値があがりやすい食材でもあるので、糖尿や肥満の心配がある猫ちゃんには向いていないかもしれません。

GI値とは?

 「炭水化物」とは糖質と食物繊維を合わせたもののことです。糖質は摂取すると血糖値を急上昇させ、糖尿や肥満の原因になります。食物繊維にはその血糖値の急上昇を防ぐ効果があります。なので炭水化物量が同じ場合でも、両者の比率によって血糖値の上がり方は違ってきます。それを相対数値化したものが「GI値」です。糖質が多く血糖値が上がりやすいものは高GI、上がりにくいものは低GIになります。

 たとえば米は穀物の中でもアレルゲンになりにくいため、アレルギー対応食にも使われますが、GI値は高いので配合量が多すぎるものは避けた方がいいといえます。
 プレミアムフードでは高GIのじゃがいもやコーンの代わりに、低GIでアレルギーも起こしにくいインゲン豆やひよこ豆などを炭水化物源として使っているものも多いです。原材料をチェックするときに注目してみましょう。

チキンアレルギーの子に「鶏卵」は大丈夫?

 鶏肉と鶏卵のタンパク質は別のもので、交差性も低いため、鶏肉アレルギーだからといって特に鶏卵を避ける必要はありません。もちろん両者を併発したりアレルゲンが変化する可能性はありますので注意は必要です。

チキンアレルギーの子に「鶏脂」は大丈夫?

 鶏脂自体がアレルギーの原因になることはほぼありませんが、鶏脂から除去しきれていないタンパク質でアレルギーを起こすことがあるので、メーカーが除去を保証しているフード以外では鶏脂も避けたほうが無難でしょう。「ポートリー脂肪」(家禽脂肪)、「動物性脂肪」といった表記の中に鶏脂が含まれている場合もあるので、原材料をチェックする際は注意しておきましょう。

「加水分解チキンたんぱく」は大丈夫?

通常、加水分解されたタンパク質はアレルギーを起こしにくくなります。除去食やアレルギー療法食にもよく使われているため安心しがちですが、中には加水分解されたものでも症状が出る敏感な子もいるので、今食べているフードに含まれていて症状がよくならないようなら、原因として疑ってみた方がいいでしょう。